沖縄の免税店はとっても楽しいジェットコースターである

(あらBさんの2022年アドベントカレンダー企画23日目の記事になります)

 

みなさん、はいさ~い!!!

 

 

すみません、心の中の島人が滲み出てしまいました。

2022年、新婚旅行的なアレで石垣・沖縄旅行に行ってそれはそれは大変楽しい思いをしたのですが、その中でもトップレベルに楽しませてもらった体験についてシェアします。

 

全く知られてないのですが、沖縄には物凄いジェットコースターが楽しめる施設があるんです。

 

その名もDFS沖縄です!!!

www.dfs.com

沖縄には国内旅行なのに使える免税店があるんです!!!

・・・え?知ってる、まぁ確かに沖縄旅行で少し調べると出てきます。よくあるステマサイトやアフィサイトがわんさか説明してくれていますね。

 

あ、いえ、その、免税店に遊園地が併設されているとかそういうことじゃないです。物理的なジェットコースターは無いです、すみません。まぁ、比喩的な意味と言うか、あの、なんかそういうアレです。

 

ごっほんごっほん、、、。では気を取り直しまして。

どの辺がジェットコースターなのか、これから説明していきます。

 

免税店ってそもそも何よ?

免税、甘美な響きですね・・・。皆さんも空港や街中で免税店を見かけては、羨望の眼差しで眺めつつ歯をギリギリした経験があるかと思います。

 

で、そもそも免税店って何かと言うと

免税店とは外国人旅行者等の非居住者に対して特定の物品を一定の方法で販売する場合に、消費税を免除して販売できる店舗

免税店とは|消費税免税店サイト

まぁ、外国人への販売の際に消費税は免除するよ、ということですね。ご存知の通りかと。

では、これってどういう理屈で免税されているかご存知ですか?

 

国税庁のHPを見ると、以下のように記載されています。

販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除されます。これは、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。

No.6551 輸出取引の免税|国税庁

 

つまり、外国人が”海外で消費”するものに消費税が課税されるのがおかしいよね、という理屈で成り立っています。

 

・・・じゃあ、今回話題にしているDFS沖縄が国内旅行なのに免税なのはどういう理屈なんだ!?!?!

私の知っている免税の知識では説明がつかず、必死になって国税庁のページの免税の定義やらを確認した結果、どうやら以下の制度に基づいているようでした。

 

 

 

 

 

沖縄型特定免税店制度とは
 本制度は平成10年4月、沖縄振興開発特別措置法(現:沖縄振興特別措置法)等の改正により導入された制度

沖縄型特定免税店制度 : 沖縄地区税関 Okinawa Regional Customs

 

定義とか関係ない!特別な法律があるんじゃん!そんなの知らんがな!

 

これ、どうしてこんなに驚いているかというと、こういう細かい規定は、「租税にまつわる法律の下」に、特別措置法という名前でくっついていることが多いんですね。この場合は消費税の特別措置法になると考えるのが自然です。巷で話題のインボイスとか住宅ローン控除とかも、当然このパターンです。

そんな中、この沖縄の免税は別の世界観を持っている沖縄振興を目的とした法律を根拠にしている。知らない訳だわ。

 

そもそも消費税は免税されていない

さて、実は今までの説明は全く的外れな内容になっています。真面目に読んだ皆さんごめんなさい。あぁ、やめて、石は投げないで!か弱いJKだから!

 

茶番はさておき、先ほど私が貼った税関の沖縄地区税関のHPの記載ですぐに分かります。現代人として十分なリテラシーをお持ちの読者の方々なら、当然貼られた一次情報のリンクをたどるかと思いますので、既にお気付きでしょう!

 

・・・・・・石を持った手でグーパンされる前に、とっとと説明します。

 

すべての輸入品に係る関税が免税され安く購入できます

沖縄型特定免税店制度 : 沖縄地区税関 Okinawa Regional Customs

 

そうなんです、免除されているのは関税なんです。消費税じゃないんです。

なんなら、消費税はばっちり課せられています。沖縄県の公式HPに、下記のように明記されています。

 

免税価格による販売(関税免除。内国消費税は課税)

沖縄型特定免税店制度について/沖縄県

 

免税店と言いつつ、関税のみが対象でむしろ消費税はかかっている。衝撃の事実に目から鱗です。摩訶不思議!(恐らく、日本でここだけだと思います)

 

何で沖縄?平成10年に何が起きた?

先ほどの沖縄県のHPによると、制度が開始されたのは平成10年のようです。

ここでもう一つ疑問が。

 

何故平成10年の沖縄でこのような優遇措置が取られたのでしょう?確かに沖縄は経済的なビハインドがあるのは良く聞くところですが、何か事件でも起きていたのでしょうか?そして何故、観光客向けの免税という形の支援になっているのでしょうか?

こもりんは現在17歳なので未だ生まれてない時代です、何もわかりません!

 

色々探したら、以下のような歴史的な事実が背景にあることが分かりました。

 

従来、沖縄では各種の土産品が非課税又は低税率となっていて、本土に比べて値段が安く、本土へ入国する際には携帯品免税が認められ、観光客にとってショッピング
は大きな魅力であった

「ファイナンス」令和4年5月号~内容紹介~ : 財務省

   沖縄総合事務局、沖縄地区税関、沖縄国税事務所 「沖縄復帰50年の歴史と果たしてきた役割」 P6 復帰直後の制度

 

本土復帰前は当然海外なので日本の税率とは異なる低い税率だった。そして、その低い税率が観光の魅力となっていたので、復帰後もそのメリットをある程度継続させてあげようということみたいです。

ほえ~、沖縄の歴史を感じられますね。

 

従前の制度は観光戻税制度と言います。これが現在の特定免税店制度に変わったのが平成10年だった、というだけの話でした。(ちなみに、免税の範囲が縮小される方向の改訂でした)

 

じゃあ、いくら関税はお得になるの?

倹約家たる読者の皆様、お待たせしました。上記のどうでも良い話題は置いておいて、唯一にして最大の関心事に満を持してご回答いたします。

 

「っで、どれくらい安いんですか?」

私がyoutuberならこの内容を前面に押し出して、安っぽいフォントのクソダサ煽りサムネを作っていたことでしょう。

 

 

この疑問は以下の関税率表(簡易版)を見れば一発です。っていうより、ググったらすぐ出てきます。

 

区 分

品 目

関 税 率

衣料品

毛皮のコート(43類)

繊維製のコート、ジャケット、ズボン、スカート(61、62類)

シャツ、肌着(61、62類)

水着(61、62類)

ネクタイ(織物)(62類)

マフラー類(61、62類)

20%

8.4~12.8%

7.4~10.9%

8.4~10.9%

8.4~13.4%

4.4~9.1%

ハンドバッグ

革製、コンポジションレザー製、紡織用繊維製、プラスチックシート製(42類)

8~16%

アクセサリー

金製、銀製、プラチナ製、貴石製品(71類)

5.2~5.4%

1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー) : 税関 Japan Customs

※DFS沖縄に関連がありそうな種類のみに絞っています

毛皮のコートが20%で最大で、他は10%弱程度というところですね。

ちなみに、この制度は購入金額の限度が一人20万円なので得できるのは4万円が限度になります。

 

 

・・・あれ?案外安くなってないな。まぁ、ぼちぼちって感じ。

 

さて、ブログやツイッターで沖縄DFSを検索すると化粧品が大人気です。

実際に店舗に行くと分かるのですが、化粧品のコーナーがかなり広いです。公式サイトの通販でも半分程度が化粧品です。

こもりんはメインディッシュは後にとっておくタイプです。なので、上記の表からは抜いておきました。

 

では、本命の化粧品の関税率いってみよう!

 

 

 

 

 

化粧品 

香水、オーデコロン、口紅、マニキュア用品、化粧水(33類)

浴用化粧石けん(34類)

無税

無税

1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー) : 税関 Japan Customs

 

え~~~~~~~~~~~、免税店なのにそもそも税金かかってないや~~~~~~~~ん!!!!!!免税されてないや~~~~~~~~~ん!!!!!

ちなみに時計類も同様に無税です。正直、今でも半信半疑です。詳しい方いたら教えてほしい。

※でも、ここ間違ってたら記事書いた意味がほぼゼロになるのでそれはそれで困るような

 

でも何故か安いっぽい

関税の免税がウリなのに肝心の税率が0%、ということは全く安くないってこと!?

 

ところがぎっちょん、各種観光ガイドにも頻繁に観光地として取り上げられていますし、各種ブログ・ツイッター等でも安い!安い!という鼻息の荒いコメントが後を絶ちません。

また、当日一緒に回った同行者も価格に大変感銘を受けており、最終的に買った物も他のネットショップ等よりも確実に安いことを確認できています。

 

それと、公式ウェブサイトからは裏を取れなかったのですが消費税分は一律で割引しているとの記載は見かけています。もしそうであれば、一般的な免税店と金額的には全く同じになりますね。

 

まぁ、全員騙されている説も無くはないですが、これほど有名な施設でそんなことが起きているとはさすがに考えにくいです。

陰謀論者の方々が好みそうな仮説ですが、お互いのために深く議論するのはやめておきましょう。)

 

とにかく、事実安いということは免税とは別のロジックで安くなっている部分があると考えられます。

 

安さの秘訣に迫る(妄想ベース)

ここまでの検討を踏まえて、恐らくこの制度は以下のような変遷を経ているのではと推測しています。

 

・本土復帰から幾年も経過した結果、経済的な発展はある程度達成された。また、国民意識としても沖縄を国内であるという考えが自然になり免税されるのは感覚として合わなくなった

・一方、完全に廃止すると沖縄の国内旅行需要に影響が出る可能性もあり、かつ沖縄側からの反発が見込まれる

・そこで実質的には無税だった関税を免除する形にして、観光客には気付かれない形にしつつ、消費税はきっちり課すことで税収への影響はカバーした

 

・また、店側としては高級路線を保つため安易に値引きは出来ないものの、都合により安く売りたい製品がある場合、免税の名目で値引きが出来る場として重宝している(更に、観光地のため集客・財布のヒモの面で利点がある)

・10%のみ割り引かれた化粧品をいくつか現地で見かけた。免税アピールとして、あたかも消費税が免除されたような商品を準備しているのでは

 

この辺は全く裏を取れてない妄言ですが、一応論理的には成り立ってると思います。

 

陰謀論っぽいと思った人がいたら、先生怒らないからスマブラで決着をつけることにしましょう。暴力は意見の相違を超越します。

 

じゃあ何を買えばよいのか

ここで言いたいことは、化粧品類は無税だから買うべきではない!ということではないのです。

理由は何であれ、安いのならば買っちゃえばよいのです。

1点だけ気を付けなければならないのは、免税されてない商品があるためきちんと他の店舗との比較などをする必要があることです。

 

それはつまり、普通のショッピングです。旅行先でも自分を見失わないことが一番大事ということですね。くぅ~~~~、深いぜ!!!

 

この驚きの連続は正にジェットコースターである

旅行当日のこもりんは、上記の事実をもっと荒い形で手元のスマホで順次手に入れていきました。(買物しろよ)

心の声を再現すると、

「えっ、消費税だけかと思ってたのに割引率20%~とか30%とかで結構凄いじゃん、なにこれ」

「免税店って、関税だと!!!何その新パターン!!!いやぁ、消費税免税になる根拠全く分からんと思ったらそういうことか!!!」

「てか、租税法じゃなくて別の法律とかレア度高いな、すげえ!!!」

「あ、沖縄返還の流れから来てる制度なのか!!!他国だったから税金が安かったって言われたら納得感半端ないっすわ!!!それにしても、歴史感じるねぇ~~~。」

「ちょwwwおまwww化粧品の関税0%って免税関係ないや~~~~~~~~~~~~~~~~~んwwwwwwwwwwwwwwwww」

「でも、まぁ、なんかよく分かんねぇけど、安いみたいだしいいっかwww」

※こもりんはいい大人のJKなのでショッピングをお楽しみの皆さんの邪魔をするような発言はしておりません(なので心の声)。特に関税0%のくだりとか同行者にも、今日に至るまで伝えてないです☆いえ~い汗様みってるぅ~?

とまぁ、こんな感じで次々と明らかになる新事実に振り回される様はジェットコースターだっ!などど思ったわけです(伏線回収)

 

・・・ジェットコースターとかドヤ顔で宣言しておいてなんですが、どちらかと言うとミステリーの謎解きみたいな感じに近いかもしれませんねガハハ(書き直すのが面倒なので、このままでいきます)

 

知的好奇心をバチバチに刺激する沖縄DFS、皆様も是非行ってみてください!

 

くあるステマサイトやアフィサイトと同ベルなのは癪なので可能な限り1次情報にあたりました。が、素人の意見ですので、間違った見解等ございましたら【いえこもり@kichisyumi】までご指摘いただけますと幸いです