④品川からお台場・豊洲まで(75~90km)

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 〇ファミレス

ここにきて、ちょっとした問題が生じました。

このままのペースでは、レインボーブリッジへ開場前に到着してしまうのです。

 

レインボーブリッジは調査時に徒歩で通れることが判明し、これは通らない手はないだろうと思った、今回の要所です。きっとキラキラした場所なんじゃないかなって。

ただし、開場時間が短く(冬季は10時~18時)このせいでルートの策定には時間がかかっています。反時計回りなのも夕方スタートなのも、この事情を加味した結果です。

 

時間つぶしのためにも、仮眠のためにも、そしてスマホの充電も少し怪しかったので充電もするためにも、どこかで休憩しなければ。

実は、川崎到着時点からずっとファミレスを探していました。結局、見つからずに夜明けまでだらだら歩いていたのです。

 

距離が遠かったり、24時間ではなかったり、明かりのついていないファミレスを何度見送ったことか。

そんな中、ジョナサンだけは私を助けてくれました。青と白のストライプのなんと神々しいことか!そして輝く24時間営業の文字!さながらオアシスです。

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カニ雑炊とドリンクバーを適当に注文し、スマホの充電をしつつ、仮眠をとり、2時間くらいの長い休憩をとったのでした。

 

(久しぶりに温かいメシを食べたなぁ、とか考えてました) 

 

ちなみに、小銭は持ち歩くのが面倒なので全額寄付してきました。

40円だけですが。

 

〇レインボーブリッジ

時間調整も終わり、仮眠もとって少々元気になった私はレインボーブリッジへ向かいます。

ただ、時間が早かったからでしょうか、そこまで人は多くなかったです。

せいぜい20人程度でしょうか。ランナーの方も結構いました。

 

風は強かったですが、景色は中々いいものでした。

まさに大都会!っていう感じのビルの並びを満喫できます。

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そして、その中にスカイツリーを小さく発見します。

この時点でのこり20kmです。終盤だということを強く意識しました。

 

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リア充と遭遇

レインボーブリッジを抜けると、お台場海浜公園に直結していました。

真冬の砂浜だというのに、人がそこそこいました。

 

砂浜は関節に優しいです。私は中々に穏やかな気分で歩いていました。

せっかくだし、フジテレビの近くにでも行こうかな。

 

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そして、リア充らしき男女4人グループの近くを通り抜けようとしたとき事件が起きます。

 

「そういえばさー、クリスマスに独りでいるのって”クリぼっち”って言うらしいねー」

「えーwwwそんな人いるー?wwww」

 

・・・!?

私は耳を疑いました。

今まさに、クリぼっちをこじらせて100km走っている人間がここにいます。

偶然にしては酷すぎます。

 

「え、だからこんな感じでしょwww」

「マジうけるーwww」

そう言って、男の一人が海岸で体育座りをしてクリぼっちのモノマネをして

周りの人が笑いながら写メをとっていました。

 

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(左の黒い男が体育座りをしています)

(ひとり被って3名に見えますが、ちゃんと影は4人分あります)

 

今、この記事を書いてみても、あまりにも奇跡的すぎて作り話にしか思えません。

当時の私はあまりにも状況に合致しすぎていて唖然としてしまい、そして何故か笑っていたと思います。

すげえや、こんなことってあるんだ。

でも、次はもっと明るい奇跡をお願いします。

 

 

気付けば、フジテレビのことを忘れてお台場を通り過ぎていました。

 

 

 

 次:

⑤豊洲からスカイツリーまで(90km~100km)

 

 

 

 

 

 

 

 

③二子玉から川崎まで(50~65km)

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二子玉川周辺で環八にお別れして、

多摩川沿いに川崎を目指します。

 

〇心が折れかける

二子玉川を少し超えたところ50km、ちょうど半分が過ぎました。

時刻はおよそ深夜1時30分、スタートから8時間が経過しています。

 

実は40kmが過ぎたあたりからは、ずっと胃が痛くて全然走れていません。

胃が痛いから走れない、でも歩いてるだけでも喉が渇くから何か飲む、

そうするとまた胃が重くなって走れない、みたいな状況が続いていました。

さらに、左足のマメも悪化します。

くっきりはっきり、プチっと皮膚が破けた感覚がしました。

 

 

てか、まだ半分とかマジですか?もういいよーーー!!!

疲れたもーーー!!!いいじゃん、半分いったからもういいじゃんもー!!!

胃も痛いし、マメも痛いし、筋肉はまだ元気だからこの二つさえなければ絶対普通に走れるんだからさーーー!!!

実質走ったってことでもういいじゃんよー!!!

ってな具合に心が折れかけているときのツイートがこちら。

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 私はこのとき、本当に何も考えずにツイートしていたのですが

フォロワーさんが、こんなツイートにすぐに応援のリプを飛ばしていただきました。

 

 

応援の力ってすごいですね。

本当に元気になったんです。

不思議と、胃の痛みもマメの痛みもどこかに消えていました。

リプライ自体はシンプルな内容だったのですが、

弱っていた私の心に響くには十二分でした。

 

私は、直接的な応援には否定的な方で、逆に負担になるんじゃないのか、

プレッシャーになっちゃうかもしれないから・・・なんて考えて応援はそこそこにしようとする傾向があります。

これからは、素直に頑張っている人を応援してあげよう、力になってあげよう、そう考え方が変わった瞬間でした。

 

また、皆さんからの応援には今後の道中でも

ずいぶんと助けられることとなります。

 

府中街道は走りにくい

元気をもらった私は、意気揚々と多摩川を渡り

府中街道沿いに川崎を目指します。

 

星空を眺めて、月が三日月だったことに気付きます。

よく考えたら東側に進むのは初めてで、その関係でしょうか。

あと、オリオン座もいつの間にか見えなくなっていました。

いずれにせよ、星空を見るような余裕ができたということでしょう。

 

ただし、府中街道は走りにくかったです。

道幅は狭く、舗装も剥げていたり、ガードレールも無かったり、

それに街頭が少なくちょっと暗めでした。

車も時々走っていて、気を使う場面も多かったです。

  

筋肉がそろそろ限界に近づいていましたが、

まだまだ心は前のめりで進むことができ、無事川崎周辺までたどり着きました。

 

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〇犬

気付けば5時ごろになっていました。

始発電車が動き始める、駅の周りにはポツポツと人が見えるようになってきました。

 

ここで、素敵な出会いをします。

私が道を進んでいると前方にお散歩中のゴールデンレトリーバーが。

やったらこっちをチラチラ見て落ち着かない様子です。

生粋の犬派の私は、追い抜かす際にチラリと犬を見ます。

目と目があいます。

 

・・・瞬間、私の足はとまり、わたしは両手でその子をワシワシと撫でていました。

飼い主様曰く、とても人懐っこいとのこと。可愛いのう・・・。

ものすごく癒されました。

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〇外国人に道を聞かれる

ちょうど品川水族館のあたりを通ったあたり、

横断歩道を歩いていると、チャリを押してるラテン系の兄ちゃんに声をかけられます。

私は、とっさに追いはぎか何かと思いウエストポーチに手をかけて警戒態勢です。

 

京急蒲田ドコデスカ?」

 「えっと・・・この道をずっと行けばありますよ」

(そこ通ったよ!!!さっき!!!そしてそこそこ遠いよ!!!)

 

「・・・んー、雑色ドコデスカ?」

「そこも、この道の先ですね」

(そこも通ったよ!!!さっき!!!そしてさらに遠くなったよ!!!)

 

「・・・ん???コノ場所ナンテイイマスカ?」

「えーっと、(スマホで確認して)大森海岸ですね」

 

そう答えると、お礼を言って兄ちゃんは去っていきました。

少し遠くにお友達が地べたに座っていてその人と何やら話していたようです。

最初、警戒しちゃってごめんなさい。困りごとが解決していればいいのですが・・・。

 

 

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(遠くてぶれてるのでまったくわかりませんが、赤い丸に2人の兄ちゃんが写っています)

 

〇夜明け

兄ちゃんたちと話す少し前には、夜が明けていました。

別に、特別な場所でも何でもないのですが、一晩中ウロチョロしていたことを思うと、

なんだか、ただ太陽が昇っただけなのに心に響くものがありました。

真っ暗から、濃紺へ、東の空が赤く焼けて、目に分かるくらいのスピードで世界が明るくなってくる。いい景色です。

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 次:

④品川からお台場・豊洲まで(75~90km)

 

 

 

 

 

②赤羽から二子玉まで(20~50km)

 

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ここまではいたって順調です。

案外あっさり行けそうだな、なんて舐めた思いが心に浮かびます。

 

さて、赤羽付近まで来たら環八(カンパチ)こと環状八号線をおよそ30km走り抜けることになります。

 

〇ペース・補給について

他の区間でもおおむね、走るとはいっても基本的に「だいたい4kmくらい走って1kmくらい歩く」を延々と繰り返していました。ただし、距離を重ねるごとに4kmが3km、2km・・・といった具合にどんどん歩く距離が長くなっていきます。

 

また、尋常じゃないカロリーを消費することも分かっていたので、コンビニを見つけたら積極的に食べ物や水分を補給していました。

 

 

 

練馬区のあたり

この辺りは住宅地で、基本的に人は全然歩いていませんでした。

駅周辺だとぽつぽつと見かけるものの、数分走ると誰もいなかったです。

道幅も広く、時々信号にひっかかるもののそこまで不快ではなかったです。

 

筋肉痛もまだ常識の範囲内で普通に走ることができています。ただ、左足にマメができそうだったので、一度靴下を脱いで足を乾かしました(たまたま見つけたコンビニのベンチを使いました)

 

 

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(普通の住宅地を走りました) 

 

〇家族連れと遭遇

信号待ちをしていると、4人家族が後ろからやってきました。

長女らしき女の子がキラキラ光るこういうやつ(キックスケーターと呼ぶようです)に乗ってて、

次女らしき女の子がディズニーの袋を持ってて、

ご両親が楽しそうにお話ししています。

誰がどう見てもクリスマスを満喫している家族です。近くの公園にでも行くのでしょうか。

私はすぐ1mくらい隣で信号を待っています。100km走ってます。一人で。

・・・その辺のカップルなんかよりよっぽど破壊力がありました。

 

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(ぶれまくってて何もわかりませんが、たぶん赤丸した部分が家族です)

 

〇階段とか

広い道路を走っているので、反対側へ渡る手段が歩道橋だったり地下道だったりすることもありました。

やはり階段だと平地よりもきついです。特に下り。

 

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 次:

③二子玉から川崎まで(50~65km)

 

 

 

 

①スカイツリーから赤羽付近まで(0~20km)

 

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〇出発!

まずスカイツリーに向かう電車の中、どこか気持ちが浮ついていてやたらドキドキしていました。

走り切れるのか不安だったり、走り切った時の達成感を想像してワクワクしてみたり、マジで走るの?みたいに困惑していたり、感情がグルグル回ってよくわかんなかったです。

 

そんな浮ついた気持ちの中、キラキラしていたスカイツリーの付近をひとりで歩き回り、適当なスタート地点を見つけ、寒さか何かで若干震える指でツイートをしたら、18時30分くらいに出発しました。

 

 

 

〇隅田川

 

スタート直後は、おおむね川沿いに進み、赤羽を目指しました。

都内の川沿いはランニングコースが充実しているようで、

非常に走りやすかったです。

こういうランニングコースは、見晴らしもいいし、何より信号に引っかからなくて済むので大変ありがたかったです。

ただ、そんなに厚着したつもりはなかったのに走ってみると意外と暑いのはちょっと辛かったです。

 オリオン座を見つけて、指でなぞってみたり、まだまだはしゃぐ余裕がありました。

 

〇荒川

本当は、隅田川沿いに走る予定だったのですが、

唐突に、地図を見ながら「某アニメ」を思い出し急きょルートを変更

荒川へ向かいました。

 

「荒川アンダー・ザ・ブリッジ」って言いたかっただけです。

聖地の下調べは全くしてなかったので実際どうなのかは極めて微妙ですが、

それらしき野原みたいなのを見つけて勝手にテンションあげてました。

 

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(荒川のどこかの橋の下からの写真)

 

 

そして、ランニングコースなのに全く人とすれ違いませんでした。猫には会いましたが。

星空の中に自分の足音だけが小さく響いて、木々の陰に向こう岸のビルの明かりが漏れる、

そんなちょっぴり特別な雰囲気を一人で満喫することができました。

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 次:

②赤羽から二子玉まで(20~50km)

 

 

 

 

プロローグ

〇発端

11月。仕事中に仕事するふりをしながら休みの予定でも考えようと、カレンダーを眺めた私はあることに気が付きました。

・・・今年のクリスマス3連休じゃん。

 

そのような、キラキラしたリア充イベントとは無縁な私は、

早速これまた無縁なリア友へ連絡します。

「おい、今年クリスマス3連休だぞ、これはもう誰かの家に集合して

一晩ゲームしまくろうぜwwwクリスマスは中止してゲーム大会だぜwww」

 

リア友A「え、うー、その日はちょっと・・・」

リア友B「・・・お昼だけなら」

リア友C「じゃあ俺もやめとくー、まだどうなるか分からんしー」

 

・・・ふ~ん、そうなんだー、君たちふ~ん、へー忙しいんだその日

 

何と友情とは儚いものでしょう、あっさりと裏切られてしまっていたようです。

信じてたのに、君たちは私の味方だと信じてたのに・・・。

クリスマスと無縁な人間は私だけだったのです。

 

私はほとほと困り果ててしまいました。

何よりの問題は、私は性根が心底腐っているので彼らのことを全く許せないのです。

普段なら、クリスマスにひとりで過ごしてようが別になんとも思わないのですが今年は違います。

クリスマス当日、テレビを見ていても、ゲームをしていても、どこかへ出かけても、きっと心のどこかで「今頃あいつらは”お楽しみ”なんでしょうね・・・」とか思ってしまうに違いありません。

どうにかして、あいつらのことを考えずに済むような予定を考えなければ・・・。

 

そこで考えた私の対応策はこれです。

「クリスマス当日に死ぬほど疲れてぐったり休んじまえばいいんだ!」

そして、死ぬほど疲れるための手段が100キロマラソンだったのです。

 

また、

1.わざわざクリスマスに

2.大したマラソン経験もなく

3.腰痛が良くなったばっかりなのに(後述します)

100キロ走るのはきっと世界で私だけだろう、という謎のプレミア感にどこか心を惹かれてしまったのも大きな要因です。

 

〇自己紹介

 

まず、わたしについて書きます。

いえこもり、オタク系20代社会人♂、身長174cm、体重70キロ。

 

学生の頃は野球部だったりバレー部だったりしました。

スポーツ自体は人並程度にはこなせていたと思います。

ただし昔から持久走は大の苦手で、マラソン大会は下から10番目くらいでした。

 

また、腰痛持ちです。

正確に言うと、治りたてホヤホヤの「椎間板ヘルニア」です。

大学生のころから何となく腰が痛かったのですが、今年の4月ごろに急激に悪くなったので病院へ行ったところ、診断を受け、そこから毎日薬を飲みながら週1でリハビリに通う日々を過ごしました。

ただし、治療のかいあって症状はかなり良くなりました。10月ごろには日常生活で困ることもほとんどなく、リハビリ自体は年内で無事終了となりました。(マラソンスタートの3日前が最後のリハビリ日でした)

定期的に治療を受けることはなくなりましたが、今後も投薬自体は続ける予定です。

 

 

〇スタートまでの準備

11月の中頃ごろから仕事終わりにランニングのトレーニングをしました。

最初は2,3kmでしたが、そのうち平日に10kmくらいなら普通に走れるようになりました。また、本番の1週間前にリハーサルとして50km走りました。

逆に言えば、これしかしていません。はっきり言って準備不足だったでしょう。

 

後は、適当に服装等の装備を整えて終わりです。

今あるものを最大限活用した結果、追加投資は1万円程度で済みました。

一番高くても白いジャージ3000円です。

 

 

〇ルートについて

スタート地点は、スカイツリーにしました。

何となく、クリスマスでキラキラしてそうだからです。

あとは円状になるように適当に決めました。

 

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次:

①スカイツリーから赤羽付近まで(0~20km)